20回研究会

第20回パーソン・センタード作業療法研究会

日時:2013年4月21日13:00~16:00

場所:国立オリンピック記念青少年総合センター

内容:

1) 事例検討

認知症治療病棟に入院されている若年性認知症のケースについて話題提供を頂きました.

若年性認知症の方は,進行が早く対応に苦慮されているとの事で,転倒の危険性もあることから行動を制限せざるを得ないこともあるそうです.そのような状況で,どういった対応ができるか参加者で話し合いました.

報告の中では,

・側にいると一緒にできる動作もある.

・歌がかかると,時々に「イエーイ」といって手を振る.

・そうめんは箸を使って食べることができる

・最近人を求めるようになり,集団活動技能の部分が上がってきた

などと,その人ができることやよい状態に関することが分かりました.


ディスカッションで,その方の能力の把握ができている部分があるので,それを多職種で情報共有して取り組むことが重要ということが確認できました.

体調が悪い中,報告を頂きましたNさん.有難うございました.


2) Pool Activitu Level(PAL)について 小川真寛(イムス板橋リハビリテーション病院)

認知症をもつ方への作業療法として,いくつかのアプローチが提示されているが,作業療法の本質は,作業を用いる,作業をできるようにする,作業によって人が健康,幸せになることなので,アプローチよりもその人に応じた作業に焦点を当てることが重要と基本的な視点を提示されました.そして,認知症をもつ人の生活は,一日座りっぱなしで何もせずボーとしている.レクも参加していない,いわば作業疎外の状態にある.これは認知症の方の作業遂行障害によるものなので,作業遂行障害を周辺症状の一つとして捉えてもいいのではないか.作業遂行ができることで周辺症状も変わってくることは考えられると述べられました.


認知症をもつ人のもつ人の作業の特徴として,

・自分で選択できない

・自分の意志で探索することができない

・作業の目的が保持できない

・作業の工程が分からない

・自分の体や道具がうまく使用できない

などがあるので,作業の選択 → 適応 → 継続が重要であること.

作業の選択や適応に関して,有用なツールとなるPALについて紹介頂きました.

Pool活動レベルは,

1)認知症をもつ人のもつ方の活動能力を日常生活の観察から評価する

2)活動レベルから,活動を導入する際のポイントを知ることができる

3)他職種との情報共有に利用できる

などの特徴があるとした上で、実際に文章やビデオを見ながらPALをつけてみました.

事例紹介では,作業遂行技能では,運動技能は比較的よく,プロセス技能の障害が大きい人で、感覚活動レベルの方に対する活動の適応について紹介頂きました.


質疑応答では,PALを使用する際の留意点に関することや地域に退院させるケースの連携についての話題について意見交換をいたしました.


参加者感想として,PALは比較的良好な感じを持って頂けたようです.

・客観的なデータの取り方を学べた

・PALはその方の全体像をみるチェックリストになる

・できることを探して見つけていく.病棟との連携に使用できる.

・認知症だからという考え方なくしていく.

・作業の大枠を決めるにはいい.

・若いスタッフにはいい.

・いろんな職種とその人を理解するにはいい.細かく言い過ぎない点やできるところを見つけてあげる視点はいい


積極的なご参加有り難うございました.